本記事は2026年6月15日時点の政府公式情報をもとに、日本で発行された戸籍関係書類や卒業証明書をオランダ側へ提出する前の準備を整理したものです。個別の提出先、申請種別、家族構成、学校や雇用主の運用により、必要な原本、発行日の新しさ、翻訳言語、認証方法は異なります。最終判断は、IND、自治体、学校、雇用主、または提出先から届いた最新の指示で確認してください。
最初に決めるのは「どの書類を、誰に出すか」です
オランダ移住の書類準備では、「戸籍謄本にアポスティーユが必要ですか」「卒業証明書は英語ならそのまま出せますか」という形で調べがちです。しかし、実務上は書類名から先に決めるより、提出先と用途を先に分けるほうが安全です。アムステルダム市のような自治体登録では、出生証明、婚姻証明、離婚証明、養子縁組証明など、身分事項を正しく登録するための外国文書が問題になります。一方、INDの在留手続き、学校の入学手続き、雇用主の採用確認では、同じ「証明書」でも確認したい内容が変わります。
日本の戸籍制度は、オランダの出生証明書や婚姻証明書と構造が違います。戸籍謄本は家族関係や身分事項をまとめて示す日本の公文書ですが、オランダ側が求めているのは「出生日と親子関係」「婚姻状態」「離婚の事実」など、用途ごとに切り出された情報であることが多いです。したがって、戸籍謄本をそのまま提出すれば必ず十分、または大使館の英文証明だけで必ず足りる、とは考えないほうがよいです。
私は2025年の移住準備で、最初は「オランダ提出書類」と一つにまとめて管理していました。その結果、自治体登録用の身分事項、在留手続き用の書類、学校や職歴確認に使う書類が同じフォルダに混ざり、どれを原本で持つべきか分かりにくくなりました。途中から「提出先」「用途」「原本が必要か」「アポスティーユが必要か」「翻訳先の言語」を横並びにしただけで、かなり整理しやすくなりました。
自治体、IND、学校、雇用主を分けます
自治体登録では、本人確認、住所、家族関係、婚姻歴などが中心です。アムステルダム市は、国外から4か月を超えて転入する場合に市への登録が必要で、原本の証明書を持参し、証明書はオランダ語、英語、フランス語、ドイツ語のいずれかでなければ宣誓翻訳者による翻訳が必要と案内しています。さらに、証明書によってはリーガリゼーションが必要になることがあります。
INDの場合は、在留資格の種類により見られる書類が異なります。家族滞在なら婚姻やパートナー関係、子どもなら出生や親子関係、就労や留学ならスポンサー、学校、雇用主側の証明が中心になります。学校や雇用主は、卒業証明書、成績証明書、学位証明、職歴証明などを求めることがありますが、これは自治体登録の身分事項とは別の確認です。
原本、コピー、翻訳の扱いを先に聞きます
提出先が「original」と書いている場合、日本で発行された原本そのものを求めているのか、アポスティーユ付き原本と翻訳をセットで求めているのか、または認証済みコピーでよいのかを確認します。オランダ側の窓口では、紙の原本を確認してその場で返却する場合もあれば、確認のため一時的に預かる場合もあります。アムステルダム市も、外国文書は通常本人が市役所で提出し、場合により文書を預かることがあると案内しています。
翻訳は、単に日本語を英語に直した紙では足りない場合があります。NetherlandsWorldwideは、日本語の書類はオランダで使うために翻訳が必要で、翻訳先はオランダ語、英語、フランス語、ドイツ語のいずれか、かつ宣誓翻訳者による翻訳と案内しています。自分で訳したもの、知人に訳してもらったもの、学校が任意で発行した英語説明だけでは、提出先の求める「正式な翻訳」に当たらない可能性があります。
戸籍謄本・出生・婚姻関係の書類は、身分登録のために準備します
日本人がオランダの自治体や関係機関へ身分事項を示すとき、戸籍謄本、戸籍抄本、除籍謄本、改製原戸籍などが候補になります。ただし、オランダ側が「birth certificate」と言っている場合、日本の出生届受理証明書を求めているとは限りません。NetherlandsWorldwideは、日本の出生、婚姻、離婚、死亡に関する記録は、戸籍または出来事があった自治体から取得できると説明しています。つまり、戸籍制度を知らないオランダ側の表現を、日本の書類名へ慎重に置き換える必要があります。
戸籍謄本など日本の自治体が発行する公文書は、日本外務省の証明対象になり得ます。外務省の案内では、地方自治体が発行する戸籍謄本、住民票、納税証明書などは、公印確認およびアポスティーユの対象例に入っています。ただし、証明対象になるには、発行日、発行機関、個人印や署名ではなく公印があることなどの条件があります。ホチキスを外したり、加筆したりした書類は受け付けられないため、受け取った状態のまま扱うことが大切です。
日本で取るなら「新しさ」と「通数」を確認します
日本外務省の証明対象となる公文書は、原則として発行日より3か月以内のものが求められます。一方、NetherlandsWorldwideは、出生証明や婚姻証明について、いったん適切にリーガライズされた後はそれ自体が有効なままと説明しています。この二つは矛盾ではありません。日本でアポスティーユを申請する段階では新しい原本が必要になり、オランダ側で受け入れる段階では、提出先ごとに「どのくらい新しいものを求めるか」が異なる、という見方が現実的です。
通数も重要です。自治体登録、婚姻手続き、家族の在留手続き、学校、銀行などで同じ原本を同時期に見せる可能性があります。外務省は予備目的の申請を受け付けない旨を案内しているため、提出先が何通必要としているかを確認してから申請するほうがよいです。家族で移住する場合は、本人、配偶者、子どもごとに必要な身分事項が違うため、一人分の戸籍謄本だけで全員分が足りるとは限りません。
在オランダ日本大使館の英文証明という選択肢もあります
すでにオランダにいる場合、在オランダ日本国大使館が、戸籍の記載事項、出生証明、婚姻要件具備証明、婚姻証明、離婚証明などの身分事項に関する英文証明を発行する案内を出しています。用途として、オランダにおける滞在許可取得申請、市役所への住民登録、婚姻手続きなどが挙げられています。日本からアポスティーユ付き戸籍を取り寄せる方法とは別に、オランダ現地で大使館発行の証明を使う可能性があります。
ただし、大使館ページでも、提出先によっては証明書の基になる戸籍謄本に日本国外務省のアポスティーユを要求するケースや、大使館発行証明にオランダ外務省のリーガリゼーションを求めるケースがあると注意されています。したがって、「大使館で英文にしてもらえばすべて解決」とは言い切れません。提出先へ、戸籍謄本原本のアポスティーユが必要か、大使館の英文証明でよいか、さらにオランダ外務省の認証が必要かを事前に聞くのが安全です。
卒業証明書・学位証明書は、戸籍とは別に考えます
卒業証明書や学位証明書は、オランダ移住の文脈では、留学、就労、オリエンテーションイヤー、学校への入学、雇用主の学歴確認などで求められることがあります。ここで戸籍謄本と同じ感覚で「日本の正式書類だから外務省でアポスティーユを付ければよい」と考えると、手戻りになる可能性があります。日本外務省の表では、教育機関の証明書は発行主体により公印確認とアポスティーユの可否が分かれています。
たとえば、公立高等学校や公立中学校・小学校などはアポスティーユ対象例に入っています。一方、国公立大学法人や私立大学法人が発行した証明書は、公印確認の対象例には入っていても、アポスティーユは対象外とされています。私立高等学校や私立中学校・小学校なども、アポスティーユ対象外の扱いになっています。大学の卒業証明書をオランダへ出すときは、この違いを最初に確認してください。
大学の英文証明だけで足りる場合があります
学校や雇用主が学歴確認のために求めているだけなら、大学が発行する英文の卒業証明書や成績証明書で足りる場合があります。多くの日本の大学は、和文証明書だけでなく英文証明書を発行できます。提出先が「certified translation」や「legalised document」と明示していない場合、まずは提出先に、大学発行の英文原本でよいか、封緘が必要か、PDFでよいか、紙の原本が必要かを確認するのが現実的です。
ただし、英語で発行されていることと、オランダ側で正式に受け入れられることは同じではありません。大学の英文証明は翻訳ではなく、発行機関自身が作成した英文原本です。そのため、宣誓翻訳の問題は避けられることがありますが、真正性の確認、封緘、認証済みコピー、追加の評価手続きが求められるかは提出先次第です。ここを曖昧にしたまま日本を出ると、再発行や郵送で時間がかかります。
アポスティーユを求められたら発行主体を見ます
大学の卒業証明書にアポスティーユを求められた場合、まずその大学が国公立大学法人、私立大学法人、法人化前の国公立大学、専門学校など、どの発行主体に当たるかを見ます。外務省の表では、法人化前の国公立大学が発行した学位記などは例外的にアポスティーユ対象とされる注記がありますが、現在の大学証明書一般を同じ扱いにするのは危険です。
アポスティーユ対象外の私文書や法人発行文書については、公証役場での認証、法務局による公証人押印証明、外務省での証明という別ルートが関係する場合があります。東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府など一部地域ではワンストップサービスの案内もあります。ただし、これは提出先がその形の証明を受け入れることを前提にした手段です。提出先が大学発行の英文原本だけを求めているなら、過剰な認証は不要かもしれません。
日本外務省のアポスティーユは、原本の状態で申請します
日本の書類をオランダで使うための基本は、日本で発行された公文書に日本外務省のアポスティーユを付け、その後に必要な翻訳を用意する流れです。NetherlandsWorldwideは、日本の書類をオランダで使うには日本外務省でリーガライズする必要があり、それはアポスティーユで行うと説明しています。日本とオランダはいずれもハーグ条約の仕組みを使うため、通常はアポスティーユがオランダ提出時の簡略化された認証になります。
ここで大切なのは、アポスティーユが書類の内容の正しさを証明するものではない点です。NetherlandsWorldwideも、リーガリゼーションは文書の真正性や内容の真実性を証明するものではなく、正しい署名があることを意味するにすぎないと説明しています。オランダの自治体、IND、学校、その他の機関は、必要に応じて内容を確認したり、追加書類を求めたりすることがあります。
郵送申請と窓口申請の時間を見ます
日本外務省は、郵送と窓口で申請を受け付けていますが、可能な限り郵送申請を求めています。郵送申請では、証明が必要な公文書原本、申請書、代理人申請の場合の委任状、返送用封筒などを同封します。手数料は無料と案内されていますが、郵送に使うレターパックなどの費用や、書類取得費用、翻訳費用は別に考える必要があります。
申請書類に不備がなく、追加確認が不要であれば、外務省は原則として受領した3開庁日後に証明済み書類を郵便で返却すると案内しています。ただし、これは郵送日数を含まない目安です。日本国内の役所で戸籍を取り、外務省へ送り、返送を待ち、その後に翻訳を依頼し、さらにオランダへ持ち込む、という流れ全体では余白が必要です。海外からの郵送申請は受け付けていないため、オランダ渡航後に日本外務省へ直接海外から送ればよい、とは考えないでください。
原本を加工しないことが重要です
外務省は、ホチキスを外したり加筆したりした文書は受け付けられないと案内しています。日本の役所で発行された戸籍謄本や証明書は、封筒に入れたり、コピーを取ったり、翻訳者に渡したりする過程で扱いが雑になりがちです。提出先へ見せるためにページを外す、付箋を貼りすぎる、余白にメモを書く、といったことは避けます。
私の場合も、移住準備中は「これは原本」「これはコピー」「これは翻訳者用」と分けて封筒に入れ、原本には直接メモを付けない運用にしました。単純ですが、複数の書類を同時に扱う時期にはかなり効きます。特に家族分の戸籍、婚姻、出生、卒業関連を同時に集めると、どれがアポスティーユ済みか分からなくなりやすいです。
翻訳はアポスティーユの後に進めるのが基本です
日本語の書類は、オランダで使うには翻訳が必要です。NetherlandsWorldwideは、日本外務省は翻訳をリーガライズしないため、必ず先に文書をリーガライズし、その後に翻訳するよう案内しています。この順番は、日本人が間違えやすいところです。日本語原本を先に翻訳し、その翻訳に何らかの認証を付けようとしても、オランダ側の期待する流れとずれる可能性があります。
翻訳先の言語は、オランダ語、英語、フランス語、ドイツ語のいずれかです。日本人読者にとっては英語が最も現実的なことが多いですが、提出先が自治体なのか、学校なのか、雇用主なのかにより希望言語が違うことがあります。オランダ語の宣誓翻訳を求められる場合もありますし、英語で十分な場合もあります。費用と納期だけで決めず、提出先の受け入れ言語を確認します。
日本で訳す場合も宣誓翻訳者を確認します
NetherlandsWorldwideは、日本には宣誓翻訳者制度がないため、オランダの制度上宣誓した翻訳者を探すよう案内しています。オランダのLegal Aid Councilの検索サイトで、日本語とオランダ語などの組み合わせを選び、該当する翻訳者を探す流れです。日本に住んでいる翻訳者が見つかる場合もありますが、提出先や用途によって翻訳の追加認証が必要かどうかは確認が必要です。
オランダで翻訳する場合は、日本でアポスティーユを付けた原本をオランダの宣誓翻訳者に渡します。NetherlandsWorldwideは、オランダの宣誓翻訳者による翻訳であれば、その翻訳自体の追加リーガリゼーションは不要と説明しています。日本出発前にすべて終わらせるか、オランダ到着後に翻訳だけ進めるかは、提出期限と原本の管理を見て決めるとよいです。
氏名表記、日付、戸籍上の関係をそろえます
翻訳で見落としやすいのは、氏名のローマ字表記、旧姓、ミドルネームの有無、日付形式、親子関係や婚姻関係の表現です。パスポート、INDの申請、学校や雇用主の登録、自治体登録で表記がずれると、同一人物確認に余計な説明が必要になることがあります。翻訳者へ依頼するときは、パスポート表記、提出先名、用途、提出期限を伝えると、表記の揺れを減らしやすくなります。
戸籍は家族関係をまとめて表示するため、翻訳文では必要以上に多くの個人情報が出る場合があります。提出先が出生や婚姻だけを確認したいのか、家族全体の関係を確認したいのかにより、どの書類と翻訳を出すべきかが変わります。個人情報を広く出しすぎない意味でも、提出先が必要とする範囲を確認してから準備するのが安全です。
オランダ到着後の提出では、証明の種類を取り違えないようにします
オランダに着いた後は、住所登録、BSN、在留カード、学校や勤務開始、銀行、保険などが同時に動きます。この時期に、アポスティーユ付きの戸籍書類、翻訳、大学の英文証明、雇用主向け書類が混ざると、どれをどこへ出したか分からなくなります。提出前に、書類ごとに「原本を見せるだけ」「コピーを渡す」「翻訳とセットで渡す」「預ける可能性がある」を分けておくと安心です。
アムステルダム市は、国外から移住する人に、出生証明や婚姻証明などの証明書を持参するよう案内しています。外国文書は原本で、必要に応じて翻訳やリーガリゼーションが必要です。これはアムステルダム市の例であり、他の自治体では予約方法や提出タイミングが異なる場合がありますが、外国文書の原本、翻訳、認証を確認する考え方は共通しやすいです。
大使館証明と日本外務省アポスティーユは別物です
在オランダ日本国大使館の身分事項に関する証明は、オランダにいる日本人にとって有力な選択肢です。ただし、それは日本外務省のアポスティーユそのものではありません。大使館ページでも、大使館発行証明の基になる戸籍謄本に日本国外務省のアポスティーユを求められるケースや、大使館発行証明にオランダ外務省のリーガリゼーションを求められるケースがあると案内しています。
したがって、提出先に聞くときは、「戸籍謄本に日本外務省のアポスティーユを付けたものが必要ですか」「在オランダ日本大使館の英文証明で足りますか」「その大使館証明にオランダ外務省のリーガリゼーションが必要ですか」と分けて聞くのがおすすめです。単に「日本の証明でよいですか」と聞くと、相手も前提を誤解する可能性があります。
迷ったときは、提出先の言葉を日本の手続きへ翻訳します
提出先が「birth certificate」「marriage certificate」「legalised copy」「sworn translation」「apostille」と書いていても、日本のどの書類と手続きに当たるかは自動的には決まりません。出生なら戸籍謄本、出生届受理証明書、大使館の出生証明のどれが合うのか。婚姻なら戸籍謄本、婚姻届受理証明書、婚姻証明のどれが合うのか。卒業なら大学発行の英文卒業証明書で足りるのか、公証を含む認証ルートが必要なのか。この対応表を自分のケースで作るのが近道です。
私は最終的に、書類名ではなく「オランダ側が確認したい事実」を一列目に置いて管理しました。出生、婚姻、学歴、住所、在留資格、家族関係のように分けると、日本のどの原本を取るべきか、アポスティーユがいるか、翻訳がいるかが見えやすくなります。制度は条件により変わるため、この記事だけで結論を出すのではなく、提出先の最新案内と照らし合わせて、手戻りの少ない順番で準備してください。