オランダ移住で出てくるTEV手続きは、オランダ語の「Toegang en Verblijf」、つまり入国と滞在をまとめて扱う考え方です。実務では、MVVという入国用の長期ビザと、入国後に暮らすための滞在許可を同時に申請する流れとして理解すると整理しやすいです。ただし、日本語で調べると「日本から呼び寄せるならTEVが必要」と短く説明されることがあり、日本国籍者にとっては誤解が起きやすいです。
最初に大事なのは、日本国籍はINDのMVV免除対象に入っている点です。日本のパスポートを持つ本人がオランダに長期滞在する場合、通常はMVVを貼ってから入国する流れではなく、滞在許可の申請・承認・カード受領を中心に考えます。一方で、日本に住む家族やパートナーが日本国籍ではない場合、または別の国籍の社員・家族を日本から出発させる場合は、TEVの一括申請が現実の論点になります。
この記事では、2026年6月15日に確認したIND公式情報をもとに、オランダ側で呼び寄せる人、つまりスポンサー側が何を順番に見るべきかを整理します。個別の許可可否は、国籍、滞在目的、スポンサーの在留資格、収入、同居予定、書類の状態によって異なります。この記事は一般的な準備の目安であり、法的な断定や代理申請の案内ではありません。
TEVは「MVV」と「滞在許可」を一緒に進める手続きです
TEVを理解するには、まずMVVと滞在許可を分けて見る必要があります。MVVは90日を超えてオランダに滞在する人が、入国時に使う長期の入国ビザです。パスポートに貼られるステッカーで、承認後にオランダへ渡航し、現地で滞在許可カードを受け取るための入口になります。一方、滞在許可は、オランダでどの目的で、どの条件で暮らせるかを示す許可です。
MVVだけでは暮らす権利を説明しきれません
MVVは「入るため」の許可に近く、オランダで暮らし続ける根拠そのものは滞在許可にあります。そのため、呼び寄せる側は「ビザが取れたか」だけではなく、滞在目的、スポンサー、収入、同居、就労条件、カード受領までを一連で見ます。MVVが承認されたとしても、渡航後に滞在許可カードを受け取る段取りを外すと、生活開始の実務で困ります。
日本の感覚では、海外移住の手続きをまとめて「ビザ」と呼ぶことが多いです。しかしオランダでは、入国ビザ、滞在許可、就労許可、自治体登録、BSNが別の役割を持ちます。ここを一つの言葉で済ませると、学校や雇用主から届いた案内、INDの通知、在外公館での手続きが混ざります。
TEVは対象者本人だけでなくスポンサー側の工程です
INDは、MVVと滞在許可を同時に申請すると説明しています。多くのケースでは、オランダにいるスポンサーが申請します。家族・パートナーであれば、オランダ国籍者または有効な滞在許可を持つ人がスポンサーになります。雇用や留学では、認定スポンサー企業や教育機関が申請の中心になることもあります。
この記事の主語を「呼び寄せる側」に置くのは、申請の成否が来る人本人だけでは決まらないからです。スポンサーの在留資格、収入、同居予定、情報提供義務、書類の保管義務が関係します。日本から来る本人が書類を集めていても、オランダ側の条件が整っていなければ、全体の流れは進みにくいです。
一括申請でも、一回で全部終わるわけではありません
TEVは「一括」と訳されますが、ワンクリックで完結する手続きではありません。大きくは、条件確認、書類収集、申請、費用支払い、INDの審査、承認通知、MVVステッカーの受け取り、渡航、滞在許可カード受領という段階があります。個別の滞在目的により、国外市民統合試験、収入要件、雇用主や学校のスポンサー確認などが加わります。
私が2025年にオランダ移住の情報を整理したときも、いちばん混乱しやすかったのは「一括」という言葉でした。一括だから簡単という意味ではなく、入国と滞在を別々に申請しないように、同じ審査の流れに乗せるという意味で捉えるほうが実務に合います。
日本国籍者はMVV免除、でも日本から来る全員が免除とは限りません
日本人向けの記事で最初に明確にすべきなのは、日本国籍者はINDのMVV免除対象に含まれることです。オランダに90日を超えて滞在する場合でも、日本国籍だけを理由にMVVステッカーを日本で受け取る流れには通常なりません。必要なのは、滞在目的に合う居住許可を正しく申請し、承認後にオランダでカードを受け取る段取りです。
判断は「日本から出発するか」ではなく「どの国籍か」です
MVVの要否は、主に国籍によって変わります。日本に住んでいる人でも、日本国籍とは限りません。たとえば、日本で暮らす配偶者が別の国籍を持っている場合、オランダ在住の日本人がその配偶者を呼び寄せるときには、本人の国籍に応じてMVVが必要になる可能性があります。子ども、再婚家庭、二重国籍に近い事情、長期滞在資格で日本に住んでいる外国籍家族がいる場合は、特に個別確認が必要です。
「日本から呼ぶから日本人向けの流れでよい」とまとめると危険です。スポンサー側は、対象者ごとにパスポートの国籍、現在の居住国、滞在目的、家族関係、年齢、必要な試験や免除を分けて見ます。家族全員が同じ便で渡航する場合でも、申請上の条件は一人ずつ違うことがあります。
日本国籍の本人はTEVではなく滞在許可申請として考えることが多いです
日本国籍者本人がオランダへ移住する場合、検索上はTEVという言葉に触れても、実際の中心は滞在許可の申請です。高度人材、自営業、起業、留学、パートナー帯同など、どの目的で滞在するかによって申請先やスポンサーが変わります。MVV免除は「長期滞在許可が不要」という意味ではありません。
ここが日本との差分です。日本のパスポートで短期入国しやすいことと、オランダで働く・家族と暮らす・学校に通う権利は別です。MVVが要らないことで入口の一工程は軽くなりますが、INDの審査、収入やスポンサー条件、カード受領、自治体登録は残ります。
非日本国籍の家族は、東京の大使館工程が入ることがあります
対象者がMVVを必要とする国籍で、日本に居住している場合、承認後に東京のオランダ大使館など在外公館でMVVステッカーを受け取る工程が入ることがあります。INDの案内では、MVVと滞在許可を同時に申請し、スポンサーが通常申請を行います。本人が海外の大使館や領事館で申請する流れもありますが、これは滞在目的やスポンサーの有無により異なります。
呼び寄せる側は、対象者本人に「大使館に行って」と伝える前に、INDの決定通知、申請種別、在外公館の指定、予約期限を確認します。承認通知に書かれた場所や期限と違う動きをすると、予約を取れても処理が進まない可能性があります。
スポンサー側が先に確認する条件
日本から誰かを呼び寄せるとき、本人のパスポートや出生証明だけに目が行きがちです。しかし、家族・パートナーのTEVでは、スポンサー側の条件が非常に大きいです。スポンサーとは、オランダで対象者を受け入れる側の人です。オランダ国籍者、永住者、有効な滞在許可保持者などが該当しますが、持っている滞在許可の種類によって、家族を呼べるか、呼べる時期、相手の就労条件が変わります。
家族・パートナーでは関係、年齢、同居、収入を見ます
INDのパートナー滞在許可では、関係が確認可能であること、二人が原則として一定年齢以上であること、オランダで同居すること、スポンサーが収入要件を満たすことなどが中心になります。婚姻、登録パートナーシップ、未婚パートナーのいずれでも、単に「一緒に住みたい」という説明だけでは足りません。どの関係を根拠にするのか、どの住所で暮らすのか、スポンサーの収入が独立・持続的・十分と見られるかを準備します。
収入要件は、給与所得、自営業収入、給付、資産など、収入源により見られ方が変わります。自営業の場合は、過去の利益や事業計画が論点になりやすいです。日本人の自営業移住と家族呼び寄せを同時に進める場合、スポンサー本人の許可と家族の許可が互いに影響するため、給与所得者よりも説明が複雑になることがあります。
スポンサー義務は「申請したら終わり」ではありません
スポンサーは、申請時に名前を出すだけの人ではありません。情報提供義務や記録保管の義務があり、状況が変わった場合にINDへ知らせる必要が出ることがあります。たとえば、同居予定が変わる、収入が変わる、関係が解消する、対象者が予定どおり入国しない、住所が変わるといった場合です。
日本語で「呼び寄せる」と言うと、航空券や住居の手配に意識が向きます。しかしオランダの制度上は、呼び寄せる側の責任も審査や滞在継続の一部です。家族を助けるつもりで軽く署名した結果、あとから説明責任が重くなることを避けるため、スポンサー欄に書く内容と実際の生活予定を一致させることが大切です。
書類は「誰の何を証明するか」で分けます
書類準備では、本人書類、スポンサー書類、関係を示す書類、住所・同居を示す書類、収入を示す書類を分けます。本人書類には、パスポート、出生や婚姻に関する公的書類、犯罪歴に関する申告、必要に応じた国外市民統合試験やTB検査関連の確認が入ります。スポンサー書類には、滞在許可カード、雇用契約、給与明細、自営業の会計資料、住居契約などが入ります。
外国で発行された公的書類は、翻訳や認証が必要になることがあります。日本の戸籍関係書類を使う場合でも、提出先、発行日、翻訳言語、アポスティーユやリーガリゼーションの要否を個別に確認します。古い書類をそのまま使う、PDFだけで済ませる、原本と翻訳の対応が分からない状態で出す、といった準備は遅延の原因になりやすいです。
申請からINDの決定までの流れ
条件と書類がそろったら、スポンサーまたは本人が所定の方法で申請します。家族・パートナーの場合、オランダ側のスポンサーがオンラインまたは郵送で進める流れが一般的です。本人が海外の大使館・領事館から申請する方法もありますが、滞在目的やスポンサーの種類により異なります。どちらの入口を使うかは、INDの該当する滞在許可ページと申請フォームで確認します。
オンライン申請ではDigiDや支払い手段も準備します
スポンサーがオンラインで申請する場合、DigiDでのログインやオンライン支払いが必要になることがあります。家族を呼ぶ準備を始めたばかりの人は、書類の中身だけでなく、DigiDが使える状態か、INDからのデジタル通知を見落とさないか、支払いが通るかも確認します。郵送申請の場合は、支払い案内が後から届くことがあります。
費用は滞在目的や対象者により変わります。INDは費用ページで、家族、就労、留学、自営業などの申請費用を分けて掲載しています。金額は改定されるため、この記事中の一般説明では固定額に依存せず、申請直前にINDの費用ページで確認するのが安全です。
決定期間は90日が目安でも、追加資料で延びることがあります
INDの各ページでは、多くの通常の滞在許可申請で決定期間が90日と案内されています。家族・パートナーの申請でも90日が一つの目安になります。ただし、申請が不完全な場合、追加資料が必要な場合、審査上の確認が必要な場合は、決定期間が延びることがあります。難民家族再統合のように別の決定期間が設定される領域もあります。
日本側の退職日、学校開始日、賃貸解約、航空券購入を、最短ケースだけで決めるのは危険です。呼び寄せる側は、承認が予定より遅れた場合の住居、仕事、学校、航空券変更の余地を残します。特に非日本国籍の家族が日本の在留期限を持っている場合、日本側の滞在期限とオランダ側の審査期間を同じ表に入れて管理してください。
追加資料の依頼は「落ちた」ではなく、まず補正の機会です
INDから追加資料を求められることがあります。これは直ちに不許可という意味ではなく、審査に必要な情報が不足している可能性があるということです。ただし、期限内に出せなければ不利になる可能性があります。依頼された資料の意味、誰が発行するものか、翻訳や認証が必要か、原本かコピーかを早めに分けます。
日本の書類は、発行機関、翻訳者、アポスティーユ、提出先の指定が絡むことがあります。追加資料を求められてから戸籍や証明書を取り直すと、郵送や翻訳で時間を使います。スポンサー側がオランダにいて、本人が日本にいる場合は、誰がどの書類を取り、誰がスキャンし、誰が原本を保管するかを事前に決めておくと遅延を抑えやすいです。
承認後:MVV受け取り、渡航、滞在許可カードまで
INDの決定が肯定的で、対象者にMVVが必要な場合は、本人が指定された在外公館でMVVステッカーの手続きを進めます。日本に居住している対象者で、通知に日本での受け取りが示されている場合は、東京のオランダ大使館などの案内に従います。MVVは有効期間内に入国するためのステッカーであり、入国後は滞在許可カードの受領へ進みます。
3か月以内の予約と90日の有効期間を混同しません
INDの家族・パートナー手続きでは、肯定的な決定後、本人が在外公館で予約を取る期限が示されます。MVVステッカー自体は通常90日有効と案内されています。ここで混同しやすいのは、承認後の予約期限、ステッカーの有効期間、実際の渡航日、滞在許可カードの受領日です。
呼び寄せる側は、本人がいつ大使館に行けるか、パスポートを預ける期間があるか、航空券をいつ取るか、オランダ到着後にいつINDデスクへ行けるかを同時に見ます。日本国内でパスポート原本が必要な予定がある場合、ステッカー手続きの前後に入れないほうが無難です。
入国後はカード受領とBRP登録を切り離して管理します
MVVで入国したあと、滞在許可カードを受け取ります。INDから準備完了の案内が来たら、INDデスクで受領予約を取る流れです。一方で、自治体への住民登録、いわゆるBRP登録は自治体側の手続きです。BSNの取得や住所登録に関係するため、生活開始には重要ですが、INDのカード受領とは窓口も目的も違います。
日本から来る本人にとっては、到着後すぐに住居、学校、仕事、銀行、保険、携帯、交通カードなどが続きます。呼び寄せる側は、INDカード、自治体予約、住居契約、保険、就労可否の確認を一枚のチェックリストにまとめるとよいです。特にカード裏面の就労文言は、働けるかどうかに関係します。家族だから自由に働けるとは限らず、スポンサーの在留資格により扱いが異なる場合があります。
不許可や条件変更が起きたら、期限と理由を先に読みます
もし不許可になった場合や、承認後に事情が変わった場合は、感情的に次の予約を探す前に、INDの通知に書かれた理由、異議申立ての期限、再申請の可否、追加で整えられる条件を確認します。この記事は異議申立ての法的助言ではありませんが、期限を逃すと選択肢が狭くなる可能性があります。
また、承認後に婚姻状況、同居予定、住所、スポンサーの雇用、本人の国籍やパスポートが変わる場合も、勝手に予定だけ進めず、INDや該当機関の案内を確認します。TEVは一括申請ですが、承認後の生活が申請内容と大きく違えば、別の説明や変更届が必要になる可能性があります。
最後に、TEVを日本人向けに理解するコツは「日本人本人のMVV免除」と「日本から来る非日本国籍者のTEV」を混ぜないことです。日本から出発する、家族である、日本語で調べている、という事実だけでは結論は出ません。対象者ごとの国籍、滞在目的、スポンサー条件、IND通知を順番に確認すると、不要な大使館予約や、逆に必要なMVV工程の見落としを避けやすくなります。