Guide / Healthcare
日本とオランダの医療制度比較
移住前に押さえておきたい、両国の医療制度の違いを対比表で整理しました。
制度対比表
制度の根本的な違いを、項目ごとに比較しています。
| 項目 | 日本 | オランダ |
|---|---|---|
| 加入義務 | 国民皆保険(公的) | 全居住者が民間保険加入義務(Zorgverzekering) |
| 保険料 | 所得比例 | 定額 120-150 EUR/月(成人1名)+ 所得連動税 |
| 自己負担 | 原則3割(高額療養費制度あり) | 年間自己負担上限(Eigen risico) 385 EUR 程度 |
| フリーアクセス | どの医療機関でも受診可 | 原則GP経由(家庭医制度) |
| 家庭医制度 | なし(かかりつけ医は任意) | あり。GP(Huisarts)への登録必須 |
| 特定薬へのアクセス | 処方箋があれば広く入手可 | 基本保険のフォーミュラリ内。一部は個別申請 |
| 救急 | 119(救急車無料) | 112(救急車)、夜間休日はGPポスト |
| 予防接種 | 定期接種は自治体が実施 | 小児は国プログラム(RIVM)で無料 |
| 民間保険の位置付け | 公的保険の上乗せ(任意) | 基本保険そのものが民間。追加補償は別契約 |
| 緩和ケア | 病院・在宅・ホスピス中心 | 在宅緩和ケア(Hospice at home)が発達 |
オランダの Zorgverzekering とは
オランダの健康保険制度 Zorgverzekering は、全居住者が民間保険会社と個別に契約する仕組みです。国が「基本保険(Basisverzekering)」でカバーされる内容を定め、保険会社はその範囲内でプランを提供します。つまり 仕組みは民間だが、カバレッジは国が規制 しているハイブリッド制度です。
渡航後4ヶ月以内の加入が義務付けられ、加入前に発生した医療費は遡って請求できます。低所得者には医療手当(Zorgtoeslag)の補助があります。
- 基本保険: GP診察、入院、専門医、薬、出産等の必須医療をカバー
- 追加補償(Aanvullende verzekering): 歯科、理学療法、海外旅行時の補償等を任意で追加
- 自己負担(Eigen risico): 年385 EUR までは自己負担、超過分は保険でカバー(GP診察と子どもは対象外)
日本の健康保険を海外で使えるか
日本の公的健康保険には 海外療養費制度 がありますが、これは「一時的な海外滞在中に、やむを得ず現地で医療を受けた場合に、一部還付を受けられる」という制度です。移住して日本の住民票を抜いた時点で、原則として日本の健康保険の被保険者資格を失います。
また海外療養費制度で還付されるのは「日本で同じ治療を受けた場合の保険診療費」が上限で、海外での実費とは大きく乖離することが多いです。移住後の医療費は、現地の保険制度に加入して備えるのが原則 です。
- 住民票を抜いた時点で、国民健康保険・後期高齢者医療制度の資格喪失
- 会社員の健康保険も退職・海外勤務で資格喪失が通常
- 任意継続や特例は限定的。税理士・社労士に要確認
- 短期の一時帰国時の医療は、別途旅行保険等で備える
治療中の方・ご家族へ
現在治療中の方、または定期的な経過観察を受けている方にとって、移住後の医療継続は最重要課題のひとつです。以下の点は、移住前に必ず日本側の主治医・かかりつけ医と相談してください。
- 現地のGP・専門医への引き継ぎ(英文紹介状・画像データ)
- 常用薬がオランダでも処方可能か、代替薬はあるか
- 再発・急変時に帰国するか現地で治療を受けるかの判断基準
- 緩和ケアを含めた終末期の選択肢
※ このページの情報は 2026年4月時点のものです。制度・金額は変わります。最新情報は厚生労働省・オランダ政府(Rijksoverheid)・各保険会社の公式情報でご確認ください。医療判断は必ず主治医・医療機関にご相談ください。