TL;DR: NL には 文部科学省認定の補習授業校が 3 校 あります (アムステルダム / ロッテルダム / ハーグ)。土曜午前のみの開講で、日本の学習指導要領に沿った国語・算数を中心に学びます。学費は年間 €1,500-3,000、対象学年は小学部から中学部まで。平日に Dutch basisschool または IB スクールに通う子どもが日本語を維持するための補完装置として位置づけられます。本記事では 3 校を学費・通学・カリキュラム・対象学年・編入条件・行事・コミュニティの 7 軸で比較し、家族の住む地域別の選び方を整理します。

なぜ「補習校」が日本人家庭にとって重要なのか

NL に移住した日本人家庭が直面する最大の教育課題が 「子どもの日本語をどう維持するか」 です。平日に Dutch basisschool や IB スクールに通うと、子どもの主言語は急速に蘭語または英語に置き換わります。家庭での会話だけでは読み書きと年齢相応の学力維持は困難で、ここで 補習校 が役割を果たします。

補習校とは何か

文部科学省が認定する 在外教育施設の一形態 で、海外在住の日本人子女向けに 日本の学習指導要領に準拠した教育 を提供する補完的学校です。平日に現地校に通う前提で、土曜午前のみ または 土曜午後 に開講するのが標準です。

NL の補習校 3 校

NL には文部科学省認定の補習授業校が 3 校あります:

  1. アムステルダム日本人学校 (土曜補習) — Amsterdam
  2. ロッテルダム日本人学校 (土曜補習) — Rotterdam
  3. ハーグ日本人学校 (土曜補習) — Den Haag

いずれも「日本人学校」を名乗りますが、平日 full day ではなく土曜のみの補習校 である点に注意が必要です。

本記事のスコープ

本記事は 2026 年 5 月時点の 文部科学省 (https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/)海外子女教育振興財団 JOES (https://www.joes.or.jp/)日本人会オランダ (https://www.japaneseclub.nl/) の公開情報と、各補習校の公式案内を一次ソースに、3 校を比較整理します。各校の最新詳細は必ず公式に直接お問い合わせください。

3 校の基本情報 —— 7 軸比較

各校を 7 つの軸で比較します。具体の数値は年度ごとに変動するため、最新は各校公式にてご確認ください。

軸 1: 学費

3 校いずれも年間 €1,500-3,000 / 子 のレンジ。兄弟割引・低学年割引がある校もあります。文部科学省から教科書は無償配布されますが、副教材・行事費は別途数百ユーロ。

軸 2: 通学アクセス

  • アムステルダム: Amsterdam 市内の会場で開講、市内・近郊からは公共交通で 30-60 分圏
  • ロッテルダム: Rotterdam 市内の会場、Den Haag からも 30-45 分でアクセス可能
  • ハーグ: Den Haag 市内の会場、Leiden / Delft 近郊からも通学圏

家族の住む都市と学校所在地が一致するのが理想ですが、Utrecht や Eindhoven など補習校のない都市の家庭は どこか 1 校に通うために土曜の通学時間を確保 する必要があります。

軸 3: カリキュラム

3 校とも 国語・算数 (中学部からは数学・社会・理科を加える校あり) を中心に、日本の学習指導要領に準拠したカリキュラム。土曜 3-4 時限 (午前または午後) が標準。

軸 4: 対象学年

  • 多くの校が 小学部 (1-6 年) + 中学部 (1-3 年) の 9 学年
  • 一部の校は幼児部 (年少・年中・年長) も併設
  • 高校生は通信制との併用や、別途家庭学習中心になるケースが一般的

軸 5: 編入条件

入学・編入の主な条件:

  • 保護者または子のいずれかが日本国籍
  • 家庭の主言語が日本語またはバイリンガル
  • 子が日本語で基本的な読み書きができる (低学年は問わないケースも)
  • 在留資格・住所証明
  • 入学金・授業料の前納

待機リストや学年定員があるため、移住前から問い合わせ・申し込み が必要です。

軸 6: 年間行事

3 校共通でよくある行事:

  • 入学式・卒業式
  • 運動会 (秋)
  • 学習発表会 (冬)
  • 遠足・社会科見学
  • 文化祭 / 学芸会
  • 漢字検定・数学検定の校内会場開催

軸 7: コミュニティ

補習校は 日本人家庭のコミュニティハブ としての機能も大きく:

  • 保護者会・PTA 活動
  • 同世代の日本人子女との友人形成
  • 帰国時の進学情報交換
  • 駐在員家庭と長期移住家庭の混在による情報多様性

3 校別の特徴 —— 個別解説

ここからは 3 校それぞれの特徴を解説します。詳細は各校公式に直接お問い合わせください。

アムステルダム日本人学校 (土曜補習)

NL 最大の日本人コミュニティであるアムステルダム圏をカバー。Amsterdam 市内および近郊 (Amstelveen / Haarlem etc.) の家庭が中心。

特徴:

  • NL 最大規模の補習校
  • 駐在員家庭と長期移住家庭の混在
  • 行事の規模が大きい (運動会・学習発表会)
  • 中学部までフル開講
  • 通学範囲が広く、Amsterdam 中心からのアクセスが良い

向いている家庭:

  • Amsterdam / Amstelveen / Haarlem / Almere に住む家庭
  • 子が日本人コミュニティで友人を作りたい
  • 大規模行事や PTA 活動を重視

ロッテルダム日本人学校 (土曜補習)

Rotterdam および南ホラント圏をカバー。Rotterdam 港湾関連の日系企業駐在員家庭が伝統的に多い。

特徴:

  • Rotterdam 駅から通学便利
  • Den Haag / Delft / Dordrecht 等からもアクセス圏
  • 港湾・物流系の日系企業駐在員家庭が多い
  • 比較的少人数で家庭的雰囲気

向いている家庭:

  • Rotterdam / Den Haag 南部 / Delft / Dordrecht に住む家庭
  • 少人数できめ細かい教育を希望
  • Rotterdam 港湾関連の日系企業勤務

ハーグ日本人学校 (土曜補習)

Den Haag および周辺の家庭をカバー。国際機関職員家庭・在オランダ大使館関係者が伝統的に多い。

特徴:

  • 国際機関職員家庭が多い
  • 駐在員と国際機関職員の混在
  • 公官庁関連家族のネットワーク
  • 在オランダ日本国大使館との距離が近い

向いている家庭:

  • Den Haag / Leiden / Wassenaar / Voorburg に住む家庭
  • 国際機関・大使館関係家族
  • 公官庁文化の中で子育てしたい

補習校に通わせる前に考えるべき 5 つの論点

「補習校に行かせる」と決める前に、家族で議論しておきたい論点を整理します。

論点 1: 平日の主校との両立

平日に Dutch basisschool または IB スクールに通う前提で、土曜にもう 1 つ学校が加わると、子どもの週末がほぼ学校で潰れます。低学年はまだ吸収できますが、中学部に上がると塾的負担も増えます。

論点 2: 宿題の二重負担

平日校の宿題に加えて、補習校の宿題 (漢字・計算ドリル・作文) が毎週出ます。親が日本語で伴走できない場合は子どもがパンクします。

論点 3: 通学時間

土曜午前を補習校に充てる場合、片道 30 分以上だと往復で 1 時間以上。家族のレジャー時間も犠牲になります。最寄り校か、通学可能圏内に住むかは住居選びの段階で決定材料に。

論点 4: 学費の家計インパクト

年間 €1,500-3,000 / 子は単独では小額ですが、IB スクール (年 €15k-25k) との合算では大きな負担。IB + 補習校Dutch + 補習校 かで全体設計が変わります。

論点 5: 帰国時の編入準備

補習校に通っていても、日本に帰国した際の中学受験や高校編入には別途対策が必要です。補習校は「日本に帰っても困らない最低限」を保証する位置づけで、難関受験対策には不十分です。

補習校に行かない選択肢

補習校に通わせない、または通わせられない家庭の選択肢も整理します。

家庭学習のみ

文部科学省の教材を取り寄せて家庭で進める方法。両親のどちらかが時間を確保できる ことが前提。海外子女教育振興財団 (JOES) の通信教育を併用するケースもあります。

オンライン日本語塾

近年は オンラインの日本語塾 が増えており、補習校に通えない地域 (Utrecht / Eindhoven / 地方都市) の家庭が活用しています。週 1-2 回 60-90 分が一般的。

一時帰国時の集中学習

夏休み・冬休みの一時帰国時に、日本の塾の 短期集中コース を受講する方法。長期移住の駐在員家庭で取られる戦術。

補完しない (蘭語または英語にフルコミット)

「日本語は家庭での会話のみで読み書きはあきらめる」と割り切る家庭もあります。帰国予定がなく、子の進路を NL または欧米に限定する場合の選択。

移住前から準備すべきこと

補習校への入学を検討するなら、移住前から準備すべきことを整理します。

移住 6 ヶ月前

  • 3 校の公式サイトで募集要項を確認
  • メールで定員・編入可能性を問い合わせ
  • 教科書・教材の日本での購入準備
  • 子の現在の学年・国語のレベルを把握

移住 3 ヶ月前

  • 入学願書の取得
  • 必要書類 (戸籍謄本・在留資格関連) の準備
  • 通学想定校への入学希望意思の連絡
  • 住居選びを補習校通学圏で絞り込み

移住直後 (Day 0-30)

  • 補習校への正式申込
  • 体験授業の予約
  • 学費の前納手続き
  • 平日校と補習校のスケジュール調整

入学後

  • 親同士のネットワーキング
  • PTA・行事への参加
  • 家庭学習のリズム作り
  • 帰国時の進路情報の収集

まとめ —— あなたが次にやるべきこと

本記事のポイントを 5 つに整理します。

  1. NL の補習校は 3 校 (アムステルダム / ロッテルダム / ハーグ)。土曜のみ開講。
  2. 学費は年 €1,500-3,000 / 子、文部科学省認定で教科書無償配布。
  3. 住む都市と最寄り校を一致 させるのが通学負担最小化の鍵。
  4. 平日校との両立 は家族の覚悟と親の伴走能力次第、補習校に行かない選択肢もある。
  5. 移住 6 ヶ月前から準備 を始め、定員・編入可能性を早期確認。

最新の各校情報は 文部科学省 在外教育施設一覧 (https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/) および 海外子女教育振興財団 JOES (https://www.joes.or.jp/) で必ずご確認ください。本記事は 2026 年 5 月時点の情報に基づきます。

免責: 本記事は一般情報です。個別判断は各補習校の事務局・教育コンサルタント・現地日本人会にご相談ください。仁田坂は 2025 年の家族移住経験を共有していますが、教育の専門家ではありません。学校選びの最終判断はご家族の責任で行ってください。